持法会御書


第四号消息 持法会設置章
それ明治維新の今日は万国交際の道開け 四海の内みな兄弟なれば彼我の見を去り 平等の心に住して有無あひ通じ彼我あひ益すべし これに依て万国あひ互いに輸出輸入するは当然の勢ひなり 就中我国より輸出する件は且つ閣き彼の国より輸入せし件に付て得失利害を述んとす 回顧するに欧米諸邦より我国に向け有形上のもの若干輸入せり 今一二を興するに曰く電信 曰く汽車なり これらは現に我国の開明を補ひ有益の物たる言を候たさるなり 然るにそれと共に無形上の宗教輸入せり その教たる往昔大聖世尊の説きたまひたる九十五種の外道の類にあらずや 若し然るなれば実に厭捨すべきの宗なり 有害たるの教へなり豈彼我抗衝するにたらんや 然りといへども彼の外教は伝教者の熱心と尽力とによりて追々盛んならんとす 嗚呼わが僧侶等この秋に方り愉安すべからず懈怠すべからず奮然興起して彼の教の邪を破し此の教の正を顕し 仏日の威光を輝し法城を厳護すべきなり
そもそもわが真宗は大聖世尊出世の本懐たる浄土の大無量寿経に依って立つところなり その経には本願真実のみのりを説きたまへり 予力最もつとむべき本分といふは その本願真実のみのりを護持し 普く宣布するにあり これに依って這回持法会といふ一の教会を設け 一派の僧侶及び檀徒信徒を会員とし 麗しく同心協力せしめ 永く正法を護持するの資助とせんと欲するなり
それに付きてこの会の目的を達せんがために 二つの事業あり 曰く学 曰く教なり
その学と教との事業をして ますます進歩するの所をなさしむるに 忽緒せさるときは 仏日の威光永く万世に輝くべきなり 正法護持の事業これより外にあることなし 希くは一派の道俗等報恩の懇念よりこの会の目的をして貫徹いたすやう この会の事業をして隆盛ならしむるやう夙夜に回心協力これありたり候なり


明治二十三年七月四日 朱印(二条秀源)